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「a flood of circleの3日間の悪夢」at渋谷クラブクアトロ ライブレポート


トリプルA面シングル「13分間の悪夢」のリリースを記念して、「a flood of circleの3日間の悪夢」と題した東名阪ツアーのファイナルが、渋谷クラブクアトロで行われた。ソールドアウトで満員の会場に登場したメンバーは、白の衣装で統一した渡邊一丘、HISAYO、アオキテツの3人に、赤い革ジャンの佐々木亮介という出で立ち。1曲目に放たれたのは“百鬼夜行”だ。赤い照明に照らされたグルーヴィーなサウンドが、ライブタイトルの「悪夢」を彷彿させる。さらに“Ghost”“Dancing Zombiez”と、ダークなモチーフのナンバーが畳み掛けられて確信。今夜はただのレコ発ライブではない。妖怪もおばけもゾンビもロックンロールで踊り出す、最高のパーティーなのだ。ただならぬ展開に高まる熱気を牽引するのは、レアなセットリストよりもなお、「4人」のa flood of circleの放つ圧倒的なグルーヴ。特にアオキのギターがバンドを引っ張っていく勢いで存在感を増し、変幻自在なギターソロが過去の楽曲を2018年に生まれ変わらせている。それに応えるように、ボトムを支える渡邊とHISAYOのリズム隊がより頼もしく、佐々木の自由なヴォーカルスタイルもどんどん開放されているようだ。「悪夢へようこそ!」の煽りから、佐々木がフロアに乗り出してリリックを叩きつけた“Where Is My Freedom”、一斉の「馬鹿野郎!」コールが爽快な“鬼殺し”、加速一方でなだれこんだ“Sweet Home Battle Field”で、フロアもステージ上も狂騒の渦へ。一転、イントロで歓声が上がった“春の嵐”の明るいメロディが会場を彩ると、「季節」繋がりか、トリプルA面のうちの1曲“夏の砂漠”を披露。ポップなリフに乗せ、まさに夏の空のように開かれたメロディ、「何も起こんなかった日でも」「進み続けてたのさ」「冒険者たちは進む」「新しい水を求めて」と、掛け合いで歌われるサビがまっすぐ胸に響いた。

一息ついたあと、ブルージーなギターのインプロとともに言葉を繋いだ“コインランドリー・ブルース”から、“Honey Moon Song”を熱唱。アッパーなだけではない、a flood of circleのもうひとつの顔を堪能する時間だ。そんな和やかなムードを自ら壊すように、「ドン、ドン、パン!」の印象的なドラムフレーズで、ニューシングルからの“DEAR MY ROCKSTEADY”へ。新曲ながら、「♪I WANT YOU FOREVER~」の大合唱が湧き起こる。骨太なビートに合わせて、今度は4人だけでなく会場全体を巻き込んで生み出すグルーヴがたまらない。これからのフラッドに不可欠な楽曲になりそうだ。

MCタイムでは、アオキを中心にグッズ紹介が行われたり、ゆるい雰囲気に包まれる場面も。佐々木が「テツが入るまではこんな感じなかったからね(笑)」と微笑ましくこぼしつつ、「ここからまた悪夢に塗り替えますんで!」と“Blood & Bones”を投下。ラストスパートとばかりに再び火が放たれる。堂々たる4人のシルエットが眩しい“プシケ”、マイクをフロアに向けての大合唱に揺れた“シーガル”と、どこまでも果てなく熱狂を更新していくバンドとオーディエンス。そんな中、「ラスト!」と満を持して3曲目の新曲“美しい悪夢”が披露された。不穏なノイズから、一気にスピードを上げて駆け抜けるイントロ、攻撃性と哀愁を併せ持つメロディ、ドラム、ギター、ベースのソロ回しと、フックだらけのドラマチックな楽曲に、心身ともに翻弄され、奪われてしまう。もはや説明不要の相性を発揮するUNISON SQUARE GARDEN・田淵智也との化学反応に、改めて驚かずにはいられない。最新曲も久しぶりの楽曲もごちゃ混ぜに「今」の音として鳴らすことで、新たに覚醒したフラッドを体感、圧巻の本編は幕を閉じた。

アンコールにて、ギターの掛け合いからセッションがスタート……と思いきや、佐々木から「3月6日にニューアルバムが出ます」との告知が! アルバムについて「(4人になって)俺たち、昔の曲をやっとできるようになってきた」「これまでの歴史もこれまでの曲も全部ひっくるめて、最高の作品を3月に出して、マジでみなさんをびびらせますんで」と熱く宣言した。期待の歓声をあげるオーディエンスに、言葉どおり2008年の楽曲“世界はきみのもの”が捧げられる。一面のハンドクラップと笑顔に溢れた美しい光景で、「悪夢」はエンディングを迎えた。前へ前へ転がり続けていく中で、傷も葛藤もその身に刻み、変わらないものを守るために変わり続けていくことこそロックンロール。正式に4人で歩き出した今年、バンドが生まれ変わったと同時に、さまざまな挑戦を経て、彼ら自身がその手にa flood of circleを取り戻したのだろう。すべての過去は「今、ここ」に立つためにあった。4人がその確信を抱いて進む、次の一歩を楽しみに待っていてほしい。


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